ディスカッションが足りない

就職試験などでその会社への入社を希望する学生達に対してグループディスカッション(GD)をさせる企業が多くあります。そして多くの学生がGDを苦手としています。理由は簡単です。そういう訓練をしてきていないからです。でも、欧米は違います。学校の授業の中でGDが行われるのは日常茶飯事です。

こうした違いは教育姿勢の違いでもあります。欧米ではみんなで意見をぶつけ合い、否定された部分を排除して、賛同を得た部分を抽出していき、最後に全員で正しい結論を見出すという方法をとるのに対し、日本では先生が正しいとすることを教え、生徒はそれを黙って受け入れるという方法がとられているからです。

そういう教育を受けてきたのに、いきなりこの場でGDをしろと言われても、戸惑ってしまうのは当然でしょう。こういった教育姿勢の違いは、実は言語の違いにも現れています。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」これは、川端康成の代表作の一つである「雪国」の有名な冒頭部分です。

異文化コミュニケーション学への招待:みすず書房

文学部国文科卒の私が学生時代、教授が授業中に、「某先生と一緒に飲みに行って、雪国の冒頭部分を英訳しようという話になったんだけれど、この文章には主語がないから、どう訳せばいいか困ってしまい、大いに盛り上がったんですよ。」と話していました。日本人なら、何となくこんな情景なんだろうな、と想像を膨らませることができます。

仙台 こども英会話

しかし、英語を話す人にとっては、誰が何をしたのかが全く示されていないため、全く理解できない文章なのです。英語は悪く言えば融通の利かない言葉です。きちんと規則通りでないと伝えることができないからです。逆に、曖昧な言い方で理解させてしまうのが日本語の特徴でもあり、外国人からするとルーズな言葉に思えるのでしょう。

CiNii Articles - 異文化コミュニケーション研究

英語を話す人は論理的に言葉で言い表しますが、日本語を話す人は聞き手が文脈を読み取ってくれることを期待してしまうのです。こういう言葉に対する姿勢の違いもあって、日本人はGDのような自分の意見をきちんとみんなの前で話しをするということに慣れておらず、苦手としてしまうのでしょう。英語を話すには、単語や文法を学ぶだけでなく、誰が何をするのかを説明する論理的思考能力も必要なのです。論理的思考能力を身につけることこそが英語を話す人々と上手にコミュニケーションを図る上で重要なポイントになるのだと思います。